カスタムログ形式

リモートログストリーミングの設定を使用する場合、Fastly のカスタムログ形式には2つのバージョンがあります。新規のログエンドポイントはデフォルトでバージョン2のログ形式となります。 バージョン1のログエンドポイントをバージョン2のログ形式にアップグレードすることができます。また、連続性を考慮してバージョン2をバージョン1形式に見えるように作成することも可能です。下記のバージョン2のカスタムログ形式の主な利点についても説明しています。

バージョン2のログ形式

以下の表には Fastly のバージョン2のログ形式に関する詳細が記載されています。表に示されるように、すべての変数の先頭にパーセント記号 (%) を付ける必要があります。

書式指定文字列説明
%%パーセント記号。
%aリクエストのクライアント IP アドレス。req.http.Fastly-Client-IP に相当します。
%Aローカル IP アドレス。server-ip に相当します。
%BHTTP ヘッダーを除く、レスポンスサイズ (バイト)resp.body_bytes_written に相当します。
%bHTTP ヘッダーを除く、レスポンスサイズ (バイト)Common Log Format (CLF) では、送信データがないときは「0」ではなく「"-"」となります。
%{Foobar}Cサーバーに送信されたリクエストの Cookie Foobar の内容。
%Dリクエストを処理するのにかかった時間 (マイクロ秒)time.elapsed.usec に相当します。
%{FOOBAR}eサポートされていません。常に "-" を返します。
%fファイル名。Varnish にはファイル配信中の概念がないため、クエリ文字列が削除された場合、req.url に相当します。
%hリモート IP アドレスreq.http.Fastly-Client-IP に相当します。
%Hリクエストのプロトコル。req.proto に相当します。
%{Foobar}iサーバーに送信されたリクエストヘッダー Foobar: の内容。
%Iリクエストとヘッダーを含む受信バイト数。ゼロになることはありません。req.bytes_read に相当します。
%kこの接続で処理されたキープアライブリクエストの数。常に 0 を返します。
%lサポートされていません。常に "-" を返します。
%mリクエストメソッド。req.request に相当します。
%{Foobar}nサポートされていません。常に "-" を返します。
%{Foobar}oレスポンスの Foobar: ヘッダー行の内容
%Oヘッダーを含む送信バイト数。ゼロになることはありません。resp.bytes_written に相当します。
%pリクエストを処理するサーバーの正規のポート。常に 80 を返します。server.port に相当します。
%{format}pリクエストを処理するサーバーの正規のポート。有効な形式は canonicallocalremote です。HTTP リクエストの場合は 80、HTTPS リクエストの場合は 443 を返します。
%Pサポートされていません。常に "-" を返します。
%{format}Pサポートされていません。常に "-" を返します。
%qクエリ文字列 (クエリ文字列が存在する場合は前に ? が追加され、存在しない場合は空文字列となります)。req.url に相当します。
%rリクエストの最初の行。
%Rサポートされていません。常に "-" を返します。
%sステータス。内部的にリダイレクトされたリクエストの場合、これは元のリクエストのステータスです。最終ステータスには %>s を使用します。resp.status に相当します。
%tリクエストが受信された時刻。標準の英語形式で表されます (例: 01/Jan/1970:00:00:00 -0700)。最後の数字は、GMT からのタイムゾーンオフセットを示しています。
%{format}tformat で与えられた形式の時刻。strftime(3) 形式でなければなりません (ローカライズされている可能性があります)。書式が begin: (デフォルト) で始まる場合、リクエスト処理の開始時に時間が取得されます。end: で始まる場合は、ログエントリーが書き込まれた時間で、リクエスト処理の終了時刻に近くなります。strftime(3) でサポートされている形式に加えて、以下のフォーマットトークンもサポートされています。sec (エポックからの秒数)、msec (エポックからのミリ秒数)、usec (エポックからのマイクロ秒数)、msec_frac (ミリ秒数部分)、usec_frac (マイクロ秒数部分)。time.start に相当します。
%Tリクエストを処理するのにかかった時間 (秒)。time.elapsed.sec に相当します。
%uサポートされていません。常に "-" を返します。
%Uリクエストの URL パス。クエリ文字列は含まれません。req.url.path に相当します。
%vリクエストのドメイン名。req.http.host に相当します。
%V%v と同じです。req.http.host に相当します。
%{vcl}V引用符なしでインクルードするリテラル VCL。VCL 変数をログに書き込むために使用できます (%{client.geo.country_code}V または %{tls.client.cipher}V など)。この % のディレクティブは Fastly の拡張機能であり、Apache では存在しません。
%X応答が完了したときの接続ステータス。常に + を設定します (レスポンスが送信された後に接続が維持されます)。

バージョン1のログ形式

以下の表には Fastly のバージョン1のログ形式に関する詳細が記載されています。表に示されるように、すべての変数の先頭にパーセント記号 (%) を付ける必要があります。

書式指定文字列説明
%bレスポンスのコンテンツのサイズ。実際にレスポンスの長さをチェックするのではなく、Content-Length ヘッダーを使用して算出されます (そのため、正確でない可能性があります)。
%hリモート IP アドレス。
%lリモートログ名。常に "-" を返します。
%rHTTP 動詞とリクエストパス (GET /index.html など)。Apache およびバージョン2のログ形式とは異なり、プロトコルのバージョンは含まれません。
%>s最後のリクエストのステータス。
%tリクエストを受信した時刻。Unix の ctime 形式 (例: Thu, 01 Jan 1970 00:00:00 GMT) で、Apache の標準英語形式ではありません (例: 01/Jan/1970:00:00:00 -0700)。
%u常に "-" を返します。

バージョン2のログ形式へのアップグレード

警告

アップグレードは恒久的な変更です。バージョン2形式を使用してオブジェクトをログした場合、バージョン1にダウングレードすることはできません。

ログエンドポイントをバージョン2のログ形式にアップグレードするには、以下の手順に従ってください。

  1. Fastly コントロールパネルにログインします。
  2. Home ページから、適切なサービスを選択します。検索ボックスで ID、名称、ドメインによる検索が行えます。
  3. Edit configuration をクリックし、アクティブなバージョンをクローンするオプションを選択します。
  4. Logging をクリックします。

    アップグレードのメッセージが表示されたログエンドポイントページ

  5. 編集したいログエンドポイントの名前をクリックします。

    アップグレードのメッセージが表示されたログエンドポイントページの編集

  6. Convert to Log Format Version 2 をクリックします。

    バージョン2ログ形式への変換ウィンドウ

  7. 出力形式を選択します。

    • Use compatible output を使用することを推奨します。この設定では、タイムスタンプ形式の文字列は変更されませんが、ログの書式は変更されます。新しい形式は Apache のログ形式と互換性があります。
    • Maintain legacy output はバージョン2パーサーを使用しますが、生成されるログ文字列は同じになります。つまり、%t%{now}V に、%r%{req.url}V に、%b%{resp.http.Content-Length}V となることを意味します。
  8. Select をクリックします。

  9. Update をクリックして、当該ログエンドポイントをバージョン2のログ形式にアップグレードします。

  10. Activate をクリックして設定への変更をデプロイします。

API でアップグレードする

Fastly API を使用してログエンドポイントをアップグレードするには、アップグレードが必要なサービスのアクティブなバージョンをクローンしたバージョンか、ロックされていない非アクティブバージョンに対して、以下のコマンドを実行します。

$ curl -X PUT -H 'Fastly-Key: FASTLY_API_TOKEN' -H 'Content-Type: application/json' 'https://api.fastly.com/service/<your Fastly service ID>/version/<version number>/logging/<logging endpoint>/<log name>' --data-binary '{"format_version":"2"}'

format_version フィールドはオブジェクトごとのフィールドであることに留意してください。ある1つのログオブジェクトで変更しても、他のオブジェクトには影響しません

例えば、「GCS Test」という名前の Google Cloud Storage エンドポイントをアップグレードする場合、curl コマンドは以下のようになります。

$ curl -X PUT -H 'Fastly-Key: FASTLY_API_TOKEN' -H 'Content-Type: application/json' 'https://api.fastly.com/service/SU1Z0isxPaozGVKXdv0eY/version/1/logging/gcs/GCS%20Test' --data-binary '{"format_version":"2"}'
注意

log name には、URL エンコードが必要なスペースが含まれています。(%20 のスペース)。

ログバージョンの判別

ご利用のサービスで現在使用されているログバージョンを判別するには、以下の curl コマンドを実行します。

$ curl -X GET -H 'Fastly-Key: FASTLY_API_TOKEN' 'https://api.fastly.com/service/<your Fastly service ID>/version/<version number>/logging/<logging endpoint>/<log name>'

curl コマンドによって、当該バージョンの設定内容の詳細が JSON 形式で出力されます。例:

1
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3
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5
6
7
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{
"address": "logs.papertrailapp.com",
"created_at": "2016-04-01T15:37:30+00:00",
"deleted_at": null,
"format": "time.start.msec time.to_first_byte time.elapsed req.body_bytes_read req.bytes_read resp.http.content-length server.region client.ip %>s \"req.method req.url req.proto\" \"req.http.referer\" \"req.http.user-agent\"",
"format_version": "2",
"hostname": "logs.papertrailapp.com",
"name": "fastly",
"port": "11111",
"public_key": null,
"response_condition": "LOG /",
"service_id": "1a2b3c4d5e6f7g8h9j0k",
"updated_at": "2016-04-01T19:47:47+00:00",
"version": "123"
}

format_version フィールドは、使用されているログ形式に応じて 1 または 2 のいずれかを表示します。

バージョン2ログ形式の利点

バージョン2のログ形式を使用する主なメリットは以下のとおりです。

  • ログは vcl_deliver ではなく vcl_log で生成され、vcl_log はオブジェクトがブラウザに渡された後に実行されるので、さまざまなサイズ変数を正確に設定することができます。
  • %t 時間ディレクティブは Apache のログ形式と互換性があります。バージョン 1 では、非標準の時刻形式を使用していました。
  • %r「first line of request」ディレクティブは、Apache のログ形式と互換性があります。バージョン1では、このプロトコルを不適切に残していました。
  • HTTP ヘッダーを除いたレスポンスサイズをバイト単位で表す %b ディレクティブを使用することで、より正確な情報を取得できます。バージョン1では、オリジンサーバから送られる Content-Length を使用しましたが、これは不正確な場合があります (特に ESI を利用している場合) 。
  • 意味のあるすべての Apache ログディレクティブを追加しました。バージョン1では、より小さなサブセットを使用していました。

バージョン2のログをバージョン1のように表示する

バージョン1のデフォルトのログ形式は以下のとおりです。

%h %l %u %t %r %>s

バージョン2のほとんどのディレクティブはまったく同じで、%t%r だけが異なります。バージョン2のログ形式にアップグレードした後、新しい %{...}V ディレクティブを使用して、バージョン1のログ形式と同じ出力を実現することができます。この場合、ログディレクティブに VCL を含むことが可能です。

%h %l %u %{now}V %{req.method}V %{req.url}V %>s

また、バージョン1で %b ディレクティブを使用している場合、代わりに以下のディレクティブを使用できます。

%{resp.http.Content-Length}V

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