サービスを設定する
最終更新日 2023-04-17
サービスとは、Web サイトまたはアプリケーションにおけるユーザー定義のキャッシング規則と動作のセットです。新しいサービスを作成することで、以下のようなことができます。
- 管理する新しい Web サイトを Web プロパティのリストに追加する
- Fastly 経由ですでに配信している既存のドメインのリストに新しいドメインを追加する
- サイト内の画像など、特定のデジタルアセットのトラフィックメトリクスを分離する
作成後、設定の調整と更新を含むサービスの新しいバージョンを編集および有効化できます。コントロールパネルでは、既存のサービスに対して他にもさまざまなことを行うことができます。例えば、お互いの比較、無効化または再有効化、削除などが可能です。
設定前の注意点
サービスの設定を始める前に、キャッシュと CDN の仕組みを理解する必要があります。また、Fastly コントロールパネルを使用してサービスを設定する前に、その機能について理解するようにしてください。
ヒント
このガイドには、配信サービスとコンピューティングサービスの両方の作成と操作に関する手順が含まれています。Compute@Edge を利用したサービスの操作については、開発者ポータルをご覧ください。
サービスとバージョンを理解する
サービスを作成する際は、何らかの処理を行う前に設定する必要があります。この設定により、サービスを通じてトラフィックを処理する方法を Fastly に伝えます。サービスの設定は、正式にはそのサービスのバージョンと呼ばれます。新しいサービスは最初のバージョン1つのみだと気が付くでしょう (新規のサービスはすべてこのように開始します)。サービスの初期バージョンは非アクティブな空白の状態で、設定と有効化を待機します。初期バージョンを有効化すると、サービスは設定に応じてトラフィックの処理を開始します。
サービスには多くのバージョンを作成できます。各バージョンはそれぞれ独自のステータスを有します。
- Draft は、すべてのバージョンが最初に作成された時点のステータスです。このステータスは、該当バージョンが有効化されておらず、編集中であることを示します。編集可能なのは、Draft ステータスのバージョンのみです。
- Active は、有効化したバージョンに表示されるステータスです。あるバージョンを有効化すると、Fastly に対してサービスのトラフィックにその設定の使用を指示しています。一度に Active にできるのは、1つのバージョンのみです。サービスが有効化されると、ロックされて編集できなくなります。無効化または再有効化のみが可能です。
- Locked は、無効化したバージョンに表示されるステータスです。このステータスは、該当バージョンが編集できないことを示します。Active バージョンは、最初に有効化された時点で自動的にロックされますが、表示ステータスは Locked ではなく Active となります。
最終的に、サービスのバージョンが増えると、Locked ステータスが最も多くなります。何らかの時点で、これらの Locked バージョンのいずれかの設定が現在 Active なバージョンの設定より望ましいと判断される場合があります。その時は、該当するバージョンを再有効化できます。または、そのバージョンの一部が実行可能でない場合、そのバージョンをクローンしてください。クローンに対して変更を加えれば、Draft ステータスとなります。Fastly はサービスのバージョン履歴を完全に記録して維持するので、いつでも任意のバージョンにサービスをロールアップできます。
サービス作成上の制限
- アカウントは、定められたサービス数に制限されています。アカウントタイプと購入されたパッケージオファーに基づいて、アカウントごとに作成できるサービス数に制限を設定しています。この制限を増やす方法の詳細については、japan@fastly.com にお問い合わせください。
- 各サービスは、定められたドメイン数に制限されています。デフォルトでは、アカウントタイプと購入されたパッケージオファーに基づいて、サービスごとに作成できるドメイン数に制限を設定しています。ただし、サポートチームに連絡した場合、サービス内のドメインの取り扱いを設定し、微調整を行うことで、この番号を調整することができる場合があります。
新規サービスを作成する
コントロールパネルを介して新しい配信サービスとコンピューティングサービスを作成できます。
新しい配信サービスの作成
コントロールパネルを介して新しい配信サービスを作成できます。
新しい配信サービスを作成するには、以下の手順に従ってください。
- Fastly コントロールパネルにログインします。
Create service メニューからDeliver を選択して、VCL ベースのサービスを作成します。新しい名前のない VCL サービスの設定ページが表示されます。
必要に応じてサービスの名前を変更します。
任意で、設定中のものを特定しやすいようにコメントを追加します。
Domains フィールドを使用して、サービスにドメインを追加します。
Hosts フィールドを使用して、サービスにホストを追加します。
ヒント
サービスを設定するお客様の多くは、同時にオーバーライドホストを指定します。この機能に興味をお持ちの方は、オリジンレベルでのホストの上書きに関するガイダンスをご覧ください。
- 新しいブラウザウィンドウで
http://www.example.com.global.prod.fastly.net
を開き、独自のウェブサイトのドメイン名をwww.example.com
に置き換えることで、サービス設定をテストします。これにより、お客様の Web サイトが表示されます。ただし、新しい設定が有効になるまでに最大60秒程度かかる場合があります。
ヒント
トラフィックを配信する前に、好きなだけ様々な設定内容についての検証を進めてください。
- 画面右上の Activate ボタンをクリックします。確認ウィンドウが表示されます。
- Confirm and Activate をクリックし、新しいサービスを有効化することを確認します。Deliver ページに、適用した設定の詳細が表示されます。
- 準備が整ったら、Fastly に向けてドメインの CNAME DNS レコードを設定してサービスのセットアップを完了し、Fastly 経由でトラフィックの配信を開始できます。
新しい Compute サービスの作成
新しい Compute サービスを作成するには、以下の手順に従ってください。
注意
ステップによっては、Fastly CLI を使用する必要があります。 まだ使用したことがない場合は、API トークンを作成する手順に従い、範囲が global
に設定されていることを確認してください。その後、Fastly CLI のダウンロードとインストールを行い、先に進む前にそのトークンを使用してアカウントを認証します。
- Fastly コントロールパネルにログインします。
- Create service メニューから Compute を選択して、Wasm ベースのサービスを作成します。名前が付けられていない新規の Wasm サービスの設定ページが表示されます。
- 必要に応じてサービスの名前を変更します。
- 任意で、設定中のものを特定しやすいようにコメントを追加します。
ヒント
Compute サービスを作成した後、Fastly CLI を介して残りの設定手順を完了することができます。
Domains フィールドを使用して、サービスにドメインを追加します。
注意
Compute@Edge では、TLS を使用してドメインを保護する必要があります。
Hosts フィールドを使用して、サービスにホストを追加します。
ヒント
サービスを設定するお客様の多くは、同時にオーバーライドホストを指定します。この機能に興味をお持ちの方は、オリジンレベルでのホストの上書きに関するガイダンスをご覧ください。
- Fastly CLI を使用して、新規の Compute@Edge プロジェクトを作成します。ローカル開発環境と
fastly.toml
パッケージマニフェストが生成されます。 fastly.toml
を開き、service_id
プロパティにサービス IDを追加します。- Fastly で使用するためにパッケージ化された Wasm バイナリにプロジェクトをコンパイルします。パッケージは
<name>.tar.gz
と名付けられます。 - Fastly コントロールパネルでサービスに戻ります。
- Package リンクをクリックします。Package ページが表示されます。
- Browse for Package (パッケージを閲覧) ボタンをクリックして、システムのパッケージファイルに移動します。
- 新しいブラウザウィンドウで
http://www.example.com.global.prod.fastly.net
を開き、独自のウェブサイトのドメイン名をwww.example.com
に置き換えることで、サービス設定をテストします。これにより、お客様の Web サイトが表示されます。ただし、新しい設定が有効になるまでに最大60秒程度かかる場合があります。
ヒント
トラフィックを配信する前に、好きなだけ様々な設定内容についての検証を進めてください。
- 画面右上の Activate ボタンをクリックします。確認ウィンドウが表示されます。
- Confirm and Activate ボタンをクリックし、新しいサービスを有効化することを確認します。Compute ページに、適用した設定の詳細が表示されます。
- 準備が整ったら、Fastly に向けてドメインの CNAME DNS レコードを設定してサービスのセットアップを完了し、Fastly 経由でトラフィックの配信を開始できます。
サービスの編集
既存のサービスのバージョンを編集し、以下を行うことができます。
- サービスのキャッシュメモリにデータを保持する期間を変更する
- オリジンサーバーが長期間利用できなくなった場合に、失効済みコンテンツを一時的に提供するようサービスを設定する (メンテナンスのためにオフラインにする場合など)
- コンテンツのリクエストに対するオリジンサーバーからのレスポンスを Fastly が待つ時間を減らす
サービスバージョンの編集と有効化
Fastly ではすでに有効化されたサービスのバージョンがロックされるので、より安全なロールバックやバージョン管理が可能です。有効化されているかどうかに関わらず、既存のサービスバージョンをクローンし、そのクローンバージョンを編集することができます。設定をデプロイするには、サービスの新しいバージョンを有効化する必要があります。設定の変更は自動的に有効化されません。
サービスを変更し、新しいバージョンを有効化するには、以下の手順を行います。
- Fastly コントロールパネルにログインします。
- Home ページから、適切なサービスを選択します。検索ボックスで ID、名称、ドメインによる検索が行えます。
Edit configuration メニューから、適切なサービス設定アクションを選択します。
- Clone version [バージョン番号] (active) を選択すると、サービスの有効なバージョンをクローンして編集することができます。
- サービスの最新ドラフトを編集するには、Edit version [バージョン番号] (latest draft) を選択します。
サービスバージョンのページが表示され、バージョンが一覧表示されます。
- Activate ボタンをクリックします。サービスの新しいバージョンが有効化され、イベントログに表示されます。
すべてのサービスを表示する
アカウントに関連付けられているすべてのサービスを表示するか、フィルターで特定のタイプのサービスのみを表示することができます。
サービスの一覧を確認する
すべてのサービスを表示するには、Fastly のコントロールパネルにログインします。サービスを作成していない場合、Fastly は、開始するためのアイデアを支援するいくつかのオプションを提供します。ただし、少なくとも 1 つのサービスを作成している場合、Home ページに、星が付けられたサービスから 1 秒当たりのリクエスト数順でソートされたすべてのサービスの要約が表示されます。
表示リストの各列をクリックすると、コンテンツタイプに基づいてリスト全体がソートされます。多くのサービスをご利用の場合は、サービスのリストの上の3本の線があるアイコンをクリックして、すべてのサービスの簡略リストを表示することができます。
すべてのサービスのサブセットを表示する
サービスの一覧をフィルターすることで、特定のタイプまたは現在アクティブなタイプのみを表示することができます。
サービスとサービスバージョンの切り替え
アカウントに関連付けられたサービスを切り替えるには、以下の手順に従ってください。
Service summary または Service configuration ページから、アカウント名と ID の右側にあるスイッチャーアイコンをクリックします。
表示されるリストから適切なサービスを選択します。
特定のサービスのバージョンを切り替えるには、以下の手順に従ってください。
Service configuration ページから、バージョン番号の右側にあるスイッチャーアイコンをクリックします。
表示されるリストから適切なバージョンを選択します。
サービスの削除
Fastly では、作成したサービスとそのすべてのバージョンを一括で削除することができます。しかし、Fastly ではサービスの特定のバージョンを削除することはできません。サービスバージョンは、サービスに加えられた変更に関する履歴ログとしての意味があります。特定のサービスバージョンで導入された変更を元に戻すには、以前のバージョンを再有効化するか、または古いバージョンをベースに新しいサービスバージョンをクローンします。
サービスをそのすべてのバージョンと一緒に削除する場合は、以下の手順に従ってください。
- Fastly コントロールパネルにログインします。
- Home ページから、適切なサービスを選択します。検索ボックスで ID、名称、ドメインによる検索が行えます。
- Options メニューから、Deactivate を選択します。サービスの無効化の警告が表示されます。
- Confirm and deactivate ボタンをクリックし、サービスを無効化すること、およびこのサービスでトラフィックを配信しないことを確認します。
- Options メニューから Delete を選択します。削除の確認ウィンドウが表示されます。
- Confirm and delete ボタンをクリックし、サービスを削除することを確認します。
重要
ドメインが不正に使用されるリスクを最小限に抑えるために、削除されたサービスに関連する Fastly ホスト名を指す DNS CNAME レコードを編集または削除することを強くお勧めします。手順については DNS プロバイダーの Web サイトに記載されている指示に従ってください。
その他の機能
サービスの作成または編集に加えて、すべてのサービスを表示し、それらに星を付けてお気に入りに追加したり、名前の変更、バージョンの比較、特定のバージョンの無効化または再有効化、削除を行うすることができます。
サービスに星を付ける
多くのサービスが存在する場合は、サービス名の左にあるアイコンをクリックすると、サービス名をお気に入りとしてマークすることができます。
フィルターメニューを使用して、星付きのサービスのみを表示します。
サービス名の変更
サービス名を変更するには、以下の手順に従ってください。
- Fastly コントロールパネルにログインします。
- Home ページから、適切なサービスを選択します。検索ボックスで ID、名称、ドメインによる検索が行えます。
- Options メニューから、Edit service name を選択します。Edit service name ウィンドウが表示されます。
- Service name フィールドに、新しいサービス名を入力します。
- Apply をクリックします。新しく変更されたサービス名が表示されます。
サービスバージョンにコメントを追加する
サービスバージョンには、ラベル付けを示すコメントを入れることができます (そのバージョンの変更の理由の特定など)。ロックされたサービスバージョンと有効化されているサービスバージョンの両方でコメントの追加や更新が可能です。
- Fastly コントロールパネルにログインします。
- Home ページから、適切なサービスを選択します。検索ボックスで ID、名称、ドメインによる検索が行えます。
- Edit configuration ボタンをクリックし、アクティブなバージョンをクローンするオプションを選択します。Domains ページが表示されます。
コントロールパネルの右上にある Add comment リンクをクリックします。
コメントウィンドウが表示されます。
Comment フィールドに、そのバージョンに対する分かりやすいコメントを入力します。
Save をクリックします。Add comment リンクがあった場所に、コメントの最初の部分が表示されます。
ヒント
サービスバージョン番号をクリックしてバージョン選択メニューを表示するか、またはバージョンコメントのアイコンをクリックしてバージョンコメントを別ウィンドウで表示することで、いつでもサービスバージョンのコメントを確認できます。バージョンに対するコメントはイベントログにも表示され、アカウントのアクティビティのモニタリングに役立ちます。
異なるサービスバージョンの比較
サービスの2つのバージョンを比較するには、以下の手順に従ってください。
- Fastly コントロールパネルにログインします。
- Home ページから、適切なサービスを選択します。検索ボックスで ID、名称、ドメインによる検索が行えます。
- Diff versions をクリックします。Diff versions ページが表示されます。
削除は赤で、追加や変更は緑で表示されます。影響を受けていない設定行の大きなブロックは、実際の変更点の左側、行番号の隣にあるプラス (+) 記号をクリックすることで、拡大して表示したり、折りたたんで隠すことができます。

ヒント
Switch versions をクリックし、表示されるメニューで別のバージョン番号を選択することで、比較されるサービスバージョンを変更することができます。
サービスの無効化
サービスを無効化するには、以下の手順に従ってください。
- Fastly コントロールパネルにログインします。
- Home ページから、適切なサービスを選択します。検索ボックスで ID、名称、ドメインによる検索が行えます。
- Options メニューから、Deactivate を選択します。Deactivate service ウィンドウが表示されます。
- Enter service name フィールドに、無効化するサービス名を正確に入力します。
- Confirm and deactivate ボタンをクリックし、サービスを無効化すること、およびこのサービスでトラフィックを配信しないことを確認します。
重要
お客様のドメインが不正に使用されるリスクを最小限に抑えるため、無効化したサービスに関連する Fastly のホスト名を指す ](/en/guides/working-with-cname-records-and-your-dns-provider)DNS CNAME レコード[を修正または削除することを強くお勧めします。手順については DNS プロバイダーの Web サイトに記載されている指示に従ってください。
また、API を使用してサービスの有効化と無効化を行うこともできます。サービスを誤って削除した場合は、Fastly にお任せください
サービスの再有効化
サービスを再有効化するには、以下の手順に従ってください。
- Fastly コントロールパネルにログインします。
- Home ページから、適切なサービスを選択します。検索ボックスで ID、名称、ドメインによる検索が行えます。
- Edit configuration ボタンをクリックし、アクティブなバージョンをクローンするオプションを選択します。Domains ページが表示されます。
- Activate をクリックします。これによりサービスが再有効化されます。
- サービスを無効化した際にサービスのドメインの DNS CNAME レコードを削除した場合は、ここで新しい DNS CNAME レコードを追加する必要があります。
誤ってサービスを削除した場合
サービスは無効化または削除することができます。無効化されたサービスはいつでも再有効化できますが、一度削除されたサービスを復元させたい場合は、カスタマーサポートにご連絡ください。リクエストを送る際には、以下の項目を必ず記入してください。
サービスの復元が完了次第、カスタマーサポートよりご連絡さしあげます。
今後の予定
サービス設定のバージョンを改良し続けながらのドメイン、ホスト、ヘルスチェックの操作について詳しくはこちらをご覧ください。